わかめの完全養殖(タンク採苗)に取り組んでいます!prat.1

牡鹿漁業協同組合では、宮城県水産技術総合センターより技術指導を受けながらわかめの完全養殖(タンク採苗)に取り組んでいます。
牡鹿地区では、わかめの養殖を行っている組合員も多く、とても重要な研究です。

<2021年6月3日>種付け作業

1.十分に熟しためかぶ(わかめの根本)を半乾燥させ、遊走子(種)を浮き出させます。

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2.海水の入った水槽に乾燥させためかぶを浸漬させます。
遊走子(種)が放出され海水が茶色く濁ります。
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3.めかぶを取り除き、用意した採苗器を浸漬させ、遊走子を付着させます。
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4.表面を白く加工した水槽2つに採苗器を沈め、成長を見守ります。
(写真奥が水槽(1)、手前が水槽(2))
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わかめの遊走子
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<2021年7月7日>定期的な育成状況確認

宮城県水産技術総合センターの方々が成長を確認にしきました。
まずは、水槽の塩分濃度と照度を計測し育成環境を記録します。
次に、両水槽のそれぞれ採苗器の上部と下部の糸を採取し、顕微鏡で育成状況を確認します。
現在肉眼では、糸が少し茶色っぽくなっていることしか確認できませんが、
顕微鏡の世界ではしっかりと成長していました!
画像の赤い〇で囲われた部分が芽胞体(葉っぱになりかけている状態)です。
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水槽(2)の上部では、芽胞体が形成され少し成長スピードが速いようなので、
採苗器の上下を交換し、偏りが出ないようにしました。

<2021年7月14日>定期的な育成状況確認

宮城県水産技術総合センターの方々が成長を確認にしきました。
まずは、水槽の塩分濃度と照度を計測し育成環境を記録します。

写真 2021-07-14 10 25 41

次に、両水槽のそれぞれ採苗器の上部と下部の糸を採取し、顕微鏡で育成状況を確認します。

写真 2021-07-14 10 28 29

写真 2021-07-14 10 36 49

水槽(2)の上部は成長が2か月程度早く、すでに3割ほどが芽胞体になっていました。
そのため、「薄種」になりやすいとのこと。
一度成長を遅らせ、次の雌雄体(成長すると芽胞体になる)を活かすこととなりました。

早速、水槽(2)の上に遮光幕を設置し対処しました。
水槽(2)は休眠期に入ります。
写真 2021-07-14 10 57 53

<2021年7月20日>定期的な育成状況確認

宮城県水産技術総合センターの方々が成長を確認にしきました。
まずは、水槽の塩分濃度と照度を計測し育成環境を記録します。

水槽(1)の上部と下部の糸を採取し、顕微鏡で育成状況を確認します。
前回よりもはっきりとした配偶体が密集しており、まるでぶどうの房のようです。
7月下旬に差し掛かり牡鹿地区でも暑さが増してきています。
水槽内の水温も上昇傾向にあり、また育成状況も良好なため水槽(1)も休眠させることとなりました。
水槽(1)の上にも遮光幕を設置し、照度を500lux以下の条件で1ヶ月半ほど休眠させます。

写真 2021-07-20 11 28 26

<2021年7月28日>定期的な育成状況確認

宮城県水産技術総合センターの方々が成長を確認にしきました。
まずはいつも通り、水槽の塩分濃度と照度を計測し育成環境を記録します。

両水槽の上部と下部の糸を採取し、顕微鏡で育成状況を確認します。
写真 2021-07-28 10 34 40

水槽(1)の上部は、小さなエビのようなものがいましたが休眠状態は良好でした。
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水槽(1)の下部は、配偶体はびっしり残っていますが、大きな虫のようなものが食べていました。(赤い丸の中が食べられている部分)
虫のお腹も茶色くなっていたようです。
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水槽(2)の上部は、照度が少し高めになっていた(810lux)ため、芽胞体より成長しているところもありました。
そのため、照度を下げるように幕を調整する必要があります。
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観察後、どちらの水槽も200~300lux程度になるように幕の調整を行いました。

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今後のわかめの完全養殖の新着は、part.2にてお知らせいたします!

◇◇◇なぜ休眠させるの??◇◇◇

Q:なぜ休眠させるのですか?そのまま育てた場合はどうなるのですか?
A:このまま育てると葉っぱに成長するけど、水温が25℃以上になると枯れてしまいます。
まだ成長していないこの状態で休眠させることで、30℃まで耐えられるため水温が25℃以下になる時期まで休眠させます。