わかめの完全養殖(タンク採苗)に取り組んでいます!part.2

「わかめの完全養殖(タンク採苗)に取り組んでいます!part.1」に引き続き、
わかめの完全養殖(タンク採苗)の経過を投稿します。

<2021年8月4日>定期的な育成状況確認

宮城県水産技術総合センターの方々が成長を確認にしきました。
まずはいつも通り、水槽の塩分濃度と照度、水温を計測し育成環境を記録します。

前回、照度を200~300lux程度に設定して休眠(成長抑制)させましたが、
今回計測してみると120~210lux程度と少し低めの照度になっていたことが判明しました。
そのため、全体的に後退し始めているようです。

実際に沖だしする際にお世話になる組合員の方も進捗状況を確認しに来てくださいました。
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水槽(1)の上部は、芽胞体が色が落ち、枯れてきていました。
配偶体は、今のところ大丈夫だが、このままだと後退してしまう恐れがあります。
栄養源である光が弱すぎるのが原因のようです。
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水槽(1)の下部は、配偶体が減り始め隙間ができ始めていました。
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水槽(2)の上部も全体的に薄くなっており、配偶体自体縮小していました。
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水槽(2)の下部は、珪藻類(この場合は雑草に当たる)もなくなっているが、配偶体も薄くなっていました。
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観察の結果、両水槽ともこれ以上の成長抑制はよくないので、照度を上げ上下交換も行うことにしました。
早速水槽から、採苗器を取り出し上下を交換しました。
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また、タンクを置いている牡鹿市場は来週~再来週にかけて夏期休業となるためシャッターを下ろした状態でもよい育成環境を保てるよう、
実際にシャッターを締め切り300lux~500luxになるように照明を設定しました。
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<2021年8月11日、8月26日>定期的な育成状況確認

8月11日の観察の結果、両水槽の上下部とも成長抑制の状況は良好で休眠状態に入っていました。
このまま2週間様子を見ることになりました。

8月26日の観察で、水槽の下部は成長が少し遅れているため水槽(1)のみ上下交換を行いました。
照度が少し低めになっていたようなので、適正な照度になるよう調整しました。

<2021年9月1日>定期的な育成状況確認

水槽の塩分濃度と照度、水温を計測し育成環境を記録します。
その次に顕微鏡でそれぞれの個所の綱を観察します。

両水槽の上下部とも成長抑制は良好で、配偶体のみ残っている状態です。
陸上の水槽の水温は、最低気温が影響するようで、
これからの季節、牡鹿地域の最低気温予報も25℃以下で水温が大きく上昇することはない見込み!
良い条件がそろったので、今後は成長を促進させるために遮光幕を外し、
栄養となる光を一気に上げ2500lux~3000luxに設定しました。

どうやら今年は上手に夏を越すことが出来たようです。

<2021年9月7日>定期的な育成状況確認

水槽の塩分濃度と照度、水温を計測し育成環境を記録します。
塩分濃度は33%ミル 照度3500lux~4500lux 水温20.4℃

水槽(1)上部は、芽胞体が立ち上がり成長し始めていました。
水槽(1)下部は、上部よりも成長が良い?
(下部の方が光が当たりにくいので成長が遅い傾向がある)
上下交換なしでこのまま成長させることとなりました。
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水槽(2)上部は、検体の採取場所にもよるが、汚れが多めなので掃除をした方がよさそう。
水槽(2)下部は、他の場所に比べて成長が遅れているので上下交換した方がよい。

観察後、水槽(2)の上下交換と両水槽の水槽底部の掃除を行いました。
水槽底部の汚れを顕微鏡で観察したところサビのようなものが多くみられたようです。
ところどころ採苗器にサビが見られるのと、一度葉っぱになったものが枯れて落ちたものも汚れの原因となるようです。

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さらに今後の成長には、光だけでなく水を滞留させないことが重要となるため、
水流を発生させるための「エアーポンプ」の設置と栄養剤である「栄養塩」16mlを投入しました。
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来週の観察が楽しみです!

<2021年9月14日>定期的な育成状況確認

水槽の塩分濃度と照度、水温を計測し育成環境を記録します。
塩分濃度は30.4%ミル 照度2000lux~3800lux 水温21.3℃

水槽(1)上部は、珪藻も多いが、葉に成長してきており、葉脈のような筋が確認できるようになった。
また、後発の芽胞体や配偶体もきちんと残っている。
水槽(1)下部は、若干汚れが目立つがしっかり成長してきており葉体の長さが長め
水槽(2)上部は、小さい芽胞体が多い印象で、光が弱くなっていた分成長が遅くなってしまったようです。
水槽(2)下部は、上に比べて薄いが、大きく成長しているものもあるのでこのまま様子を見て進めてよい。

観察を踏まえて、照度確保のため水槽(2)の横にあったスカイタンクを外し、3800lux~4300luxに設定しました。
栄養塩は、各水槽ごとに32ml投入しました。

<2021年9月21日>定期的な育成状況確認
塩分濃度30.4%ミル 照度4000lux~4800lux 水温21.3℃

水槽(1)上部は、少し汚れはあるが、葉っぱになってきており、芽胞体から葉体への移行期に差し掛かっています。
水槽(1)下部は、いい具合に成長しているが、上部との密集具合に差が出てきているので上下交換したほうがよい。
水槽(2)上部は、虫がかなり多く食べられている可能性が高い。
前々回に水槽底部を掃除した際に新な海水が入ってきているので、虫たちが活性化しやすい環境にあったのかもしれません。
水槽(2)下部は、芽胞体と配偶体もあるが、虫に食べられているのが顕著で葉体に移行しているものは確認できませんでした。

観察の結果、底のゴミ溜りに虫がたまっている可能性が高いので両水槽とも海水を入れ替えることにしました。
また、水槽(1)は上下交換し、栄養塩を投入しました。

<海水入れ替え作業>

 

海水を入れ替える前は、かろうじて肉眼で見えるほどの小さな虫たちがすぐに発見でき、水にもたくさん浮いていましたが、
入れ替えた後はじっと目を凝らしても発見しづらかったので十分な効果は期待できそうです。
沖だしまであと少し!!

<2021年9月28日>定期的な育成状況確認

塩分濃度31%ミル 照度2800lux~5700lux 水温19.4~20.4℃

水槽(1)は、上下とも葉体になっており、芽胞体も残っていてまだまだ成長するものもあり良好。
やはり光の届き具合が下部の方が遅いので上下交換を行い沖だしまでもう少し時間もあるので成長速度をそろえてあげた方がよい。
水槽(2)は、先週水槽の掃除を行いましたが、今回も虫が多く特に下部はダメージが大きい様子でした。
そこで、中間部も観察を行ったところ、葉体に成長していましたが、顕微鏡の倍率を上げると虫に食べられた痕跡が確認されました。

観察の結果、水槽(1)は上下交換を行い、水槽(2)は虫を少なくするために海水を入れ替えることにしました。

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また、両水槽とも栄養塩を100ml投入しました。
週末に台風が来る予報で、沖だし前に海の中をかき混ぜて海水温が下がってくれることを祈ります!

<2021年10月5日>沖だし前最終育成状況確認

塩分濃度21.2%ミル 照度2800lux~4000lux 水温21.3℃

10月に入りなぜか日が照り暑い日が続いていますが、台風も無事に去り海のうねりも少しずつ弱まってきました。
沖だし前の最終確認です。

水槽(1)は、汚れも増えたが葉体も増え良好な状態です。
このまま海へ出しても順調に育ちますように・・・!
水槽(2)は、やはり虫のダメージは大きい様子です。
ただ、葉体も確認されるのでこのまま沖だししても大丈夫とのこと。
念のため、水槽の掃除を行うことにしました。

沖だしをお願いする組合員さんも確認しに来てくれました!